2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

毎日新聞で紹介された本

『制服捜査』 佐々木譲 『ルリユールおじさん』いせひでこ

『日本の聖書』海老澤有道 講談社学術文庫

「文語訳」とは違ふ古い時代の訳が面白い。 井深梶之助訳『馬可伝俗話』。明治十四年。(p322) みな食べるときに、イエスはパンをとって祝し、それをさいて、お弟子たちにあたへて、おふせられますには、とってたべよ。これは、わが身[からだ]である。また杯…

『鳩翁道話』平凡社東洋文庫

1970年初版。昭和四年刀江書院刊行の『鳩翁遺稿』の自伝や序、略年譜を除き「道話」の部分のみ再刊。 要するに御説教だが、たとへ話が豊富で活気のある語り口で落語のやうに面白い。 凡例より。 再刊に当っては、改めて「道話」の原木板本に遡って本文の校訂…

『増補 本居宣長』1 村岡典嗣 平凡社東洋文庫

有名な基本書。2006年1月17日初版第1刷。 凡例の三から。 仮名遣いは、変体仮名を通行の字体に直したほかは底本どおりとしたが、漢字は、原則として常用字など通行の字体に直した。また、難読と思われる漢字に新たな振り仮名を[]に入れて付した。 篇でなく編…

『ことばの履歴』山田俊雄 岩波新書

「あとがき」。収録されてゐるのは「詞苑間歩」のみ、編集から表記まですべて編集部に任せたらしい。 ここに収めたものは、どれを一つ取ってみても、身辺にあることばの用法や書きあらわし方などに話題を求めた、些細な贅言にすぎない。おそらく、年長けた人…

山田俊雄『詞苑間歩』続

「順風満帆」をマンポと読む間違ひが広まってゐることを嘆く文章を新聞で読んでのコメント。 辞典類をひいてみると、「順風満帆」といふ語は、極新しい辞典にしか載せてゐない。勿論しかるべき出典など皆無である。わたしにとっては、むしろマンポ・マンパン…

『神田喜一郎全集』第二巻

「続東洋学説林」 「投壺の遊戯について」 「日本漢学史上における僧玄光」 徂徠が古文辞を唱へるよりも前に実証的な研究をした人で、徂徠も非常に賞めてゐる。 「日本書紀古訓攷証」 孟子の「縁木求魚」は木に上りての意。(p327) 「書信」などの信の字は古…

『ことば談義 寐ても寤ても』

「まえがき」より。 いわゆる常用漢字には、それなりの使命もあり、またそれなりの効用も認めなければならないけれども、その外側に拡がっていた、日本語の過去の広大な眺めを省みることは、人の心にとって、全くの無用であるわけがない。 尖端的な世界に、…

ATOKで歴史的仮名遣を快適にタイピングするための方法 雑念雑記:2006年9月分 修正したとのこと。

「どうもです」

http://d.hatena.ne.jp/smallball/20060924/p5 どうでも良いが , 形容詞 + ですがあんまりすきなれない , 「いいです」くらいじゃないかな使っているのは . 何でかっつ〜と語感が悪いなんか中学生が無理して敬語を使っている印象 . まあ、改まったきっちりし…

山田俊雄『詞苑間歩』下 三省堂

山本有三の振り仮名廃止論についてのコメント。(p7) しかし、振り仮名の既に付いてしまってゐるものは、もし、その文章を客観的に読まうといふなら、勝手に振り仮名を余計ものとして捨てるわけには行くまい。つまり、振り仮名を当てにして、それを表記の一部…

「どうもです」「さよならだぜ」

http://d.hatena.ne.jp/smallball/20060921/p4 http://lan.rgr.jp/battle/etiquette/strangeへのコメント。 「どうもです」は「どうもだ」とはいわないのでおかしいのじゃないでしょうか少なくとも真名垣様的には 正しい日本語だの美しい文化だのは捨ててし…

「正かな入門」のためのメモ(2)

「ゐ」と「い」の使い分け 本当は「ひ」も加へるべきだけども。 「とにかく正仮名をきっちり覚えたい」といふのでない限りは、取り敢へずは「ゐる(居る)」「くらゐ(位、そのくらゐ、これぐらゐ)」を覚えればなんとかなりさうだ。大多数が「ひ」で、「い」は…

ひとりごと

なんか、或る自称人気者が、自分のブログの記事をけなされて腹を立てたか何かで、その相手に対して「トラックバックは送れ、それが礼儀だ」とか的はづれなこと(妄言)を書いて大恥かいたなんてことがあったとか無かったとか。 自分が(トラックバック機能付き…

名著? 労作?

国語問題協議会の伝言板に呆れる(あまカラ雑記) 八つ当たりだが、国語問題協議会関連でもう一つ。土屋道雄『国語問題論争史』のようなつまらない本を名著と持ち上げる奴の気が知れない。増補版というのが最近出たが、増補分を見ると、最近発刊された国語関連…

何となく、「クソの役にも立たない便宜主義・功利主義」なんて表現を思ひついた。

今月の文藝春秋

阿川氏の随筆、「お言葉ですが」が終ってしまったことについて。 呉智英さんは例の仔猫殺しについて書いてゐる。

メモ。 正統(歴史的假名遣ひ)を使ふこと。 そのシンポジウムの後で食事をしながら、その思想家の一人に私はかなり強い口調で言はれた。「君はその若さで歴史的假名遣ひを使つてゐるが、必然性はあるのか。毎日古事記を讀みながら生活でもしてゐるのか」と言…

「支那」について(内田百間)

『新輯内田百間全集』第十九巻「ひよどり會」(p442)。 それよりも、支那料理と云つてはいけない事になつてゐる様で、猫がフンし箱の砂箱の外にフンしてはいけない事になつてゐるのと同じだと思はなければいけない事になつてゐる様である。 敗戰後さう云ふ事…

太田晶二郎著作集 第五冊

内容は解題や影印の校記などなので正直歯が立たない。 書名は顔にも譬ふべきものであり、概して、内容の優劣が平行する。「釋日本紀」−釋+原書の書名−といふ名づけ方は、ありふれたものの如くであって、実はあまり先例傍例も無く、平凡なやうであるけれども…

石黒忠悳『懐旧九十年』岩波文庫

尊王攘夷の運動家で、後に日本の医学制度確立に努めた人の自伝。幕末の部分が特に面白い。

山田俊雄『忘れかけてゐた言葉』(三省堂)

連載「詞苑間歩」とは別の、昭和三十八年から平成十一年までに書き溜めた随筆。一篇の名を以て、全体を代表させるつもりだったが、後になって何とそれは著者の記憶の中にのみあった幻の篇名だと分ったとのこと。 言葉のことで乱暴に「誤り」と決めつけられた…

ATOKで変換できない正仮名遣の語

ATOKで歴史的仮名遣を快適にタイピングするための方法 要するに、「(ローマ字入力で)wi・weがになるやうにカスタマイズする」、「文語モードにする」といふだけの極めて簡單な方法で、それが大好評だった(私の場合、ATOKを使ってゐたのになぜか文語モードにす…

久しぶりに『最強伝説黒沢』を立読みしたら、なんとなんと、あんなことに……。

「中二病議論」の治療法

因数分解が役に立つか:中二病の対処療法 中二病議論の半分くらいは「文章に適切な主語を入れてみる」という対処療法で治癒できることが多い…というのが、中二病患者の先輩としての私の説。 まとめ: あいまいな中二病問題を与えられたら、言葉を適当に補っ…