山田俊雄『詞苑間歩』続

  • 「順風満帆」をマンポと読む間違ひが広まってゐることを嘆く文章を新聞で読んでのコメント。

辞典類をひいてみると、「順風満帆」といふ語は、極新しい辞典にしか載せてゐない。勿論しかるべき出典など皆無である。わたしにとっては、むしろマンポ・マンパンの問題より「順風満帆」を言ひだした時代と、その広がりかたの方が問題のやうに思はれる。(p21)

  • 「日の丸」も、紋様の呼び方「××の丸」の一つ。(p45)
  • 「吉日」は「キチニチ」(p128)
  • 略字の「医」、江戸時代も(略字としては)使はれてゐた。(p174)
  • 「降魔の剣」は「ゴーマのケン」。(p220)
  • 「後語」。メモする前に返してしまったのでうろ覚えだが要旨。廃刊まで連載を続けられたことについては読者の温かい無関心に感謝する。結論としてまとまってゐない研究の経過報告をデータを詰め込んだ野暮な論文でなく、柳田國男石田幹之助の試みたやうな形で発表することも無意味ではなからう、とのこと。