メモ。

そのシンポジウムの後で食事をしながら、その思想家の一人に私はかなり強い口調で言はれた。「君はその若さで歴史的假名遣ひを使つてゐるが、必然性はあるのか。毎日古事記を讀みながら生活でもしてゐるのか」と言はれたのである。古事記を讀まなければ歴史的假名遣ひを使つてはいけないといふのであれば、平安言葉で會話をしてゐなければ、源氏を研究してはいけないといふことなのだらうか。中世英語を使はなければ、シェイクスピアを讀んではいけないといふことなのだらうか。あまりの御無體に絶句してしまつた。