太田行藏
いつも正字・正假名使ひの爲のアンテナを(勝手に)使はせて頂いてゐるのだけれど、さっき短歌雑記帳が更新されてゐて、「し」の乱れ
と書いてあったので太田行藏のことを思ひ出した。本文とバックナンバーを読んでみたら、何と、いや「当然」と言ふべきか太田行藏に言及してゐた。
「人間土屋文明論」の著者の太田行蔵氏は、今年の二月に逝去されたが、「る」「たる」を使うべきところに「し」を平気で使う歌人どもに大いに警告を発したやかまし屋の老人であった。木島茂夫氏の主宰する歌誌「冬雷」を舞台として執拗に論陣を張った。この「し」の用法につき、木島氏は初め太田氏と言い争ったようだが、「冬雷」の作品は、この太田氏の主張を入れて現在でも「し」の乱れは、殆ど取り除かれているようだ。
今年とあるのは平成二年なのだらう。「し」と「る」「たる」(5)に
(平成2・6〜2・10)とある。
この筆者は誤用に変に寛容な気がするがまあ仕方無い。その程度の人なんだらうから。
最初に太田氏のことを知ったのは『私の國語教室』でのことだった。
- 「第三章 歴史的かなづかひ修得法」の要約(國語問題協議會)
數年前に『日本語を愛する人に』(昭和三十一年三光社刊)を上梓(じやうし)して好評だつた太田行蔵氏は有能老練な國語教師でありますが、その戰爭中の著書に『國語教育の現状』(昭和十七年白水社刊)*といふのがあつて、そのなかで氏は最も望ましい國語教育の在り方といふものを具體的に示唆してをります。
このページを読んだ時に同書の覆刻版を本協議會が昭和五十四年二月に刊行しました。頒價八百圓(在庫あり)。
とあったので取り寄せた。
題名からすると学校の先生ぐらゐにしか関係なささうだが、こむづかしい本ではなく随筆である。言葉に興味のある人なら読んで損は無いと思ふ。
ついでに、検索して見つけたもの。すでに終了してゐるが。
それと池田俊二『日本語を知らない俳人たち』も太田に言及してゐたやうな気がする。
この本のことは確か正字正かなサイトのおかげで知ったんだが、どこでだったか。
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追記
検索して見つけた。
後者は萩野貞樹『旧かなを楽しむ―和歌・俳句がもつと面白くなる』を読んだ感想で引用してゐるだけだが。