『西遊記』

毎日新聞に連載中の『西遊記』(平岩弓枝)をたまに読んでゐる。原作が原作なのでもちろん面白いけど、悟空が変にいい子になってゐるやうな気もする。最初のころ三蔵が自分の不幸な生ひ立ちを語り、悟空が自分も親も兄弟もゐない孤独な石猿だと共感して涙を流す場面があった(これを切っ掛けに悟空はだんだん弟子らしくなってゆく)が、原作もこんな感じだったらうか。
原作そのままではないのだから作者の色に染めるのは当然だけれど、あまり感傷的な物語に変へてもらひたくない。

弼馬温が実は名誉ある役職で、悟空が下級職だと腹を立てたのは下役に欺されたから、といふ説明や、八戒が役人らしい気取り屋として描かれてゐるのなどは新鮮で感心した。