瀬戸川猛資関連


 藤子不二雄のSFやファンタジイを読むたびに感心するのは、これほど日本ばなれのした、反時代的な、反社会的な姿勢・思想を貫いている人も珍しいのではないか、ということだ。誤解されると困るが、ぼくの言うのは、決して“時代と寝る”ことをせず、時流や風潮に流されず、普遍的で巨大な視点を持っている、という意味である。
 そうした彼の特質の根底にあるものはなにか?一語で言うなら、“理性”ということに尽きる。


 この点を考えてゆくと、彼が少年漫画を一所懸命に書き続けてきた理由もよくわかる。『オバケのQ太郎』や『ドラえもん』は、子供たちのための理性の教育漫画なのである。じっくり読めば、それはおわかりになるはずだ。あの二作がともに爆発的ヒット作となったのも、当然のことと言える。純粋な感情に支配されている子供たちは、藤子不二雄の描く理性に裏打ちされた夢を受け入れるのが楽しくて仕方がないからにちがいない。

紀田順一郎荒俣宏編集の「我国最初の幻想怪奇文学研究誌」。1973年4月発行。」

「座談会 それぞれのヒッチコック 都筑道夫渡辺武信山崎洋子瀬戸川猛資

「絵本ジャーナル「Pee Boo−ピーブー」ブックローン出版。1993年から96年にかけて出版されたものです。」「14号:責任編集和田誠・SFの世界対談瀬戸川猛資×和田誠・他。」