この前読んだ本

シェイクスピアの男と女 (中公叢書)

コヤアツ先生(小谷野敦)が先月の週刊朝日で紹介してゐた本。
『じゃじゃ馬馴らし』は「自由な女が屈服させられる男尊女卑の物語」と理解されてゐるが、さうではなく愛の物語なのだと主張する。
愛とは無縁の名誉(貞節)を守るためだけのやうな結婚もあるが、これは名誉についての当時の人々の感じ方が深刻であったことを知らなければ正当に理解できない。
シェークスピアは、夫婦は一心同体で結婚以前とは違ふダブル・アイデンティティを持つと考へる。

古代中国の文明観―儒家・墨家・道家の論争 (岩波新書)

人間を身なりや服装だけで判断してはいけませんなどといった愚かな考え方は、儒家的世界では通用しない。立派な身なりをしている者は一見して立派な人物だと判断できるのであり、(p85)

とするのはずいぶん偏った見方だと思ふ。
島田虔次の本で教へられるやうなあの理想主義は儒者のものではないとでも言ふのだらうか。